子どもの居場所づくりや心のケア
活動開始から15年目を迎える「ぼちぼちの会」。不登校生の保護者の会として、定例会や学習会、レクリエーションなど通して、保護者と一緒に子どもの“これから”を考える支援を行っている。
当財団が助成している能古島アイランドパークでの親子レクリエーションを訪ね、会長を務める木村素也さんから活動にかける思いを伺った。
当財団が助成している能古島アイランドパークでの親子レクリエーションを訪ね、会長を務める木村素也さんから活動にかける思いを伺った。
活動を続けてきたなかで、心掛けていることはありますか。
共に過ごす経験を通じて、親子の絆を結び直したい
私は38年の教員経験がありますが、赴任する先々で不登校の悩みに直面したことから、親も子も孤立せずに相談ができる場の必要性を強く感じ、それぞれの地域でサポートする会を発足させました。
不登校生の保護者は、我が子への接し方に悩み、長い“悩みのトンネル”に迷い込んで苦しんでいる方もいらっしゃいます。学校へ行けなくなってしまった子どもも、原因となった悩みはさまざまなので、単純な後押しでは根本的な解決には至りません。そこで、「ぼちぼちの会」は、保護者同士、子ども同士が悩みを話し合える場であるとともに、レクリエーションを通じて家族で共有できる体験や感覚を増やし、親子の絆を結び直す場となるように心掛けています。時には、すれ違いにより、会話の機会を失ってしまった親子の“通訳”として、互いの気持ちを伝える役割を担うこともあります。
不登校生の保護者は、我が子への接し方に悩み、長い“悩みのトンネル”に迷い込んで苦しんでいる方もいらっしゃいます。学校へ行けなくなってしまった子どもも、原因となった悩みはさまざまなので、単純な後押しでは根本的な解決には至りません。そこで、「ぼちぼちの会」は、保護者同士、子ども同士が悩みを話し合える場であるとともに、レクリエーションを通じて家族で共有できる体験や感覚を増やし、親子の絆を結び直す場となるように心掛けています。時には、すれ違いにより、会話の機会を失ってしまった親子の“通訳”として、互いの気持ちを伝える役割を担うこともあります。
不登校の子どもやその親を支援するために、どのようにアプローチをしていますか?
専門的なアドバイスと、経験者との会話でフォローアップ
日本では一般的に、学校に行くことが勉強することであり、学校に行かなければ勉強ができないと思われがちですが、必ずしもそうではありません。学校に行けなくとも、平等に教育を受ける権利はあります。どんな状況にある子でも等しく教育が受けられること。これが不登校を改善に導くための課題の一つだと考えます。
「ぼちぼちの会」では、子どもたちの不登校の悩みや、その親の悩みにまず耳を傾けて、私やそれぞれの会の代表などがアドバイスをするとともに、必要に応じて、同じような状況を克服した先輩と引き合わせる「マッチング」を行っています。不登校を乗り越えた経験を持つ先輩から直接話を聞くことで追体験ができ、学校へ通っていないことで諦めようとしていた未来が見てくる。そうすれば、「今からでも大丈夫」という自信につながります。そうやって子どもたちが自ら人生の目標を見いだし、学校へ行く意味や大切さに気づいてくれるようにフォローアップを続けています。
「ぼちぼちの会」では、子どもたちの不登校の悩みや、その親の悩みにまず耳を傾けて、私やそれぞれの会の代表などがアドバイスをするとともに、必要に応じて、同じような状況を克服した先輩と引き合わせる「マッチング」を行っています。不登校を乗り越えた経験を持つ先輩から直接話を聞くことで追体験ができ、学校へ通っていないことで諦めようとしていた未来が見てくる。そうすれば、「今からでも大丈夫」という自信につながります。そうやって子どもたちが自ら人生の目標を見いだし、学校へ行く意味や大切さに気づいてくれるようにフォローアップを続けています。
親子レクリエーション当日の様子を教えてください。
皆で笑いあえる開放感と経験が、心の結びつきを助けてくれる
毎年行っている親子レクリエーションでは、詳細な段取りはあえて行わず、当日は参加者同士で声を掛け合って調理したり、子どもたちが自発的に交流しています。家族全員で参加できるので、保護者だけでなく、不登校の子の兄弟や姉妹も一緒にのびのびと笑って過ごしています。不登校の間は外に出る機会が減るため、開放的な空間に刺激される場はとても大切です。気持ちをリフレッシュさせることで、親と子が将来のことを話したり、子どもの気持ちを聞いたりすることが自然にできる機会でもあります。
家族や仲間と楽しく過ごす経験や共同作業の体験は、家族や仲間との心の結びつきにとって、とても重要な意味を持つものです。
家族や仲間と楽しく過ごす経験や共同作業の体験は、家族や仲間との心の結びつきにとって、とても重要な意味を持つものです。
九電みらい財団の助成先に選ばれて2回目ですが、助成後、活動に変化はありますか?
地区の垣根を越えて、多くの家族が参加できる場に
助成をいただいたことでレクリエーションの参加費を無料にすることができ、これまで費用が負担となって参加できなかったご家族や、「ぼちぼちの会」の会員となっていないご家族も含めて、幅広い方々が一緒に活動できるようになりました。
「ぼちぼちの会」はいろいろな地区で定例会などを行っており、通いやすい地区を自由に選んで参加できます。昨年度に引き続き、レクリエーションを無料で行えたことで、地区の垣根を越えて多くの家族がひとつの場に集まり、新しいつながりを得られる情報交換の場となりました。
異なる年齢の子どもたちが一緒に遊ぶと、自然に成長してくれる様子がみられます。互いに教え合い、アイディアを出し合うからでしょう。分け隔てなく多くの親子がレクリエーションに参加できるようになったことで、活動の意義が一段と広がったと感じています。
「ぼちぼちの会」はいろいろな地区で定例会などを行っており、通いやすい地区を自由に選んで参加できます。昨年度に引き続き、レクリエーションを無料で行えたことで、地区の垣根を越えて多くの家族がひとつの場に集まり、新しいつながりを得られる情報交換の場となりました。
異なる年齢の子どもたちが一緒に遊ぶと、自然に成長してくれる様子がみられます。互いに教え合い、アイディアを出し合うからでしょう。分け隔てなく多くの親子がレクリエーションに参加できるようになったことで、活動の意義が一段と広がったと感じています。
今後の展望を聞かせてください。
すべては、子どもと親たちの心のために
私たちは特に目標を定めていません。あくまで不登校の悩みを抱えた保護者とお子さんの支援が目的であるからで、目標を達成させることや組織の維持にとらわれてはいけないと考えるからです。
敢えて目標を言うなら、「親の不安を軽くすること」です。親が不安で迷っていると子どもにそのまま伝わることから、まずは保護者の気持ちを分かち合える場が必要なのです。
学校に行けないことで子どもの将来を奪われてはいけません。どんな道をたどっても、将来の可能性はどの子にも同じように開けているべきだと考えています。
親が目の前の状況を受け入れて、子どものありのままを認められるような支援を続けることで、これからも子どもたちの未来につながる場でありたいと考えています。
敢えて目標を言うなら、「親の不安を軽くすること」です。親が不安で迷っていると子どもにそのまま伝わることから、まずは保護者の気持ちを分かち合える場が必要なのです。
学校に行けないことで子どもの将来を奪われてはいけません。どんな道をたどっても、将来の可能性はどの子にも同じように開けているべきだと考えています。
親が目の前の状況を受け入れて、子どものありのままを認められるような支援を続けることで、これからも子どもたちの未来につながる場でありたいと考えています。
不登校の“経験”を越え、親子で進むみらいへの一歩
「ぼちぼちの会」は、孤立しがちな不登校生の保護者たちがお互いを分かち合ったり情報を得られる場として、長い間、親子を温かくサポートし続けている。不登校の問題は“解決すべき問題”ではなく“経験”のひとつと語る木村さんは、「学校に行かない」という道を選ばざるをえなかった子どもたちとその保護者にとって心強い理解者であり、これからも親子の一歩一歩を支えていくに違いない。
団体プロフィール
ぼちぼちの会
2004年の結成以来、不登校の子どもを持つ親の会として複数のエリアで会を設けて活動。年に1回の親子レクリエーションでは、会に参加していない親子にも広く門戸を開いている。他にも定例会や研修会・学習会などを通して、参加者同士の交流や情報交換をサポート。子どもや親が「一人で悩まない」ための居場所となり、将来の展望を持てるよう支援を続けている。
福岡から広がる「支援の輪」。ここからさらに広げて日本中の家族に笑顔が生まれるよう、頑張ってください。
不登校という言葉は、本当に身近に耳にする言葉だと最近感じます。友達の子どももそうだったりします。同じ悩みを持つ経験者からのお話や、その悩みを一緒に共有できるということは本当に大切です。がんばっていただきたいと思います。
学校に行けなくなった子供を持つ親御さんにとって、どのように我が子を育てていけばよいか思い悩むことが多いと思いますが、親子一緒になって自然な気持ちで今を大切に生きることを支援する趣旨に賛同します。
私の家族も不登校、学校中退を経験しています。私の周りでもこのような活動があったら、少しは違った方向になったのかなと思います。これからの子どもたちの為に頑張ってください。