ハートフルウェーブ

一人ひとりに合った指導が育む、みらいの底力

  • 成人男性

    子どもにとって最適な教育とは、一人一人異なっているのかもしれませんね。子供の状況を見つめ、一人一人に合った教育で社会に送り出すというハートフルウェーブのような場所は、いろいろな事情で学校に通えない子どもたちにとって、とても有意義な場所だと思います。これからも頑張ってください。

  • ハートフルウェーブに本当にお世話になりました。別府のインターナショナルフリースクール、とても興味深いです!

    少女
  • 中年男性

    一人ひとりとじっくり向き合い、個性を伸ばしてあげてください。

  • いろいろな特性、個性を持つ子ども達が、自分に自信を持って力強く自分の道を歩いて行けるよう、いつも一生懸命に自分の子供のように傍に寄り添ってくれる佐伯先生たちの活動を応援して行きたいです!

    成人女性
子どもの居場所づくりや心のケア
大分市内で不登校生や引きこもりの子どもを対象としたフリースクールの運営をはじめ、不登校生の学習支援をする家庭教師事業などを展開している「ハートフルウェーブ」。今回は子ども達が集まる一戸建ての教育現場にお邪魔し、代表・佐伯和可子さんに活動に対する思いなどを伺った。
フリースクールを始めたきっかけは?

子ども達の行き場と、一人ひとりに必要な教育を

「ハートフルウェーブ」の代表を務める佐伯和可子さん

「ハートフルウェーブ」の代表を務める佐伯和可子さん

活動のきっかけは、大学生時代に始めた家庭教師で受け持った生徒が不登校だったことです。生徒は中学生でしたが小学校まで遡って勉強を一から教えたこともありました。
大学生になった2002年に、不登校生のみを対象とした家庭教師塾「わかば」を立ち上げました。その後大学院を卒業する頃、当時受け持っていた生徒の親御さんから「先生が来ない時間、うちの子は外に出られないんです」そう言われたことがありました。以前市内に3校あったフリースクールが当時は無くなってしまっており、「私が作るしかない」と一念発起して、フリースクール「ハートフルウェーブ」を立ち上げました。ハートフルウェーブの運営方針は、言わば超オーダーメイドな教育。常に目の前の子ども達に必要なことは何かを一番に考え運営しています。

具体的にどのような活動をされているのですか?

社会の中で生きていく力を養う

現在、ハートフルウェーブに通うのは、小学生から高校生まで10名程度。ここでは、それぞれの学年にあった学習のほか、ウォーキングや森林セラピーなど、社会に出て行くために必要な経験を養う指導も行っています。ハートフルウェーブに通う小・中学生は、学校の出席扱いの認可をいただいています。
 
今回、助成金で、お昼に給食を出せるようになりました。これまでは、各自持ち寄ったものを好きな時間に食べていましたが、給食ができて、みんなが同じ時に同じものを食べることで一体感が生まれました。
みんな好き嫌いがありますが、「前もって食べられないものは周りの子どもにお願いしてトレードしてもらうか、それができないならどれだけ時間がかかっても完食しなければならない」というルールを設けています。この給食だけでも周りにSOSのサインを出す訓練やものごとを最後までやり遂げる習慣が身に付きます。少し厳しいルールかもしれませんが、給食を作って下さった方のためにも徹底して実践しています。

活動を通して子ども達の変化は?

自分の弱点を見つけ、目標を設定することが成長につながる

例えば普段の生活の中では「大きな声で挨拶をする」など、自分の弱いところや短所をしっかりと理解させて、それを治すことを目標にしています。「今年1年間でできるようになること」、「来年できるようになること」などを一覧にして克服していきます。もちろん時間はかかりますが、今いる子ども達も初期と比べると、かなり成長したように感じています。

フリースクールの子どもは、高校へ進学しなかったり、進学しても卒業しないことが多いのですが、ハートフルウェーブに通った子ども達は、皆高校へ進学しその高校を卒業しています。
高校に入っても辛いことはそれぞれあるのですが、そんなときのために皆を集めて泊まり込みでフォローするイベントを実施することもあります。やはり「しんどいのは自分だけ」と感じてしまうことが一番辛いと思うんです。「辛いのは自分だけじゃない、みんな頑張っているんだ」と思えるだけでも気持ちが楽になるようですね。
活動を通して子ども達に伝えたいことは?

社会に出たとき、辛いことを乗り越える底力を養って欲しい

子ども達が通い始めた頃から、不登校は不利な立場であると耳が痛いほど言って聞かせてるんです。ここは単なる逃げ場ではなく、いずれはもとの環境に戻るための場所であるという認識を持ってもらいたいなと思っています。
実際に社会に出ても辛いことってたくさんありますが、一方で、大人になると自分で選択したり、自分で解決できることも増えてきますよね。選択肢が少なく、逃げ場のない現在は厳しいですが、将来「あの時に比べたら、今は何でもできる」と気づいてくれたらいいなと思います。辛い状況を乗り越える「底力」を養ってもらいたいですね。子ども達の将来が一番大切。だから、言いにくいことも心を鬼にしてこんこんと言い聞かせています。子ども達にしっかりとわかる言葉で伝えること。これが難しいんですけどね(笑)。
縁あって大分に生まれたのだから、大分で充実した毎日を送って、ずっと大分で生きていきたいなと思ってもらいたい。それがやがて大分の力となり豊かな社会が出来上がっていくのだと考えています。

今後の目標は何ですか?

インターナショナルスクール開設へ向けて

現在別府市は立命館アジア太平洋大学ができたこともあって、海外からの移住者が増えています。同伴家族の来日も増加している中、日本国籍を持たず学校に通えない外国ルーツの子ども達が増えています。私たちとしてはこの現実を見逃すことはできず、別府市にインターナショナルのフリースクールを開設できればいいなと考えています。まずはこちらの事業を安定させること、そして各地でフリースクールを必要とする子ども達のサポートをしながら、一緒に働く人も増やしていけたら嬉しいですね。



 

一人ひとりに合った指導が育む、みらいの底力

学生時代の家庭教師の経験から、超オーダーメイドな教育を実現するフリースクールを開設した佐伯さん。学校に通えない子どもたちが“学ぶ場”というだけではなく、「社会に出ていくための場所」として運営する姿が印象的だった。ハートフルウェーブで自然と触れ合い、友だちとコミュニケーションをとる子供たちの表情は明るい。常に子どもたち一人ひとりを見つめ、時には厳しく指導することで、子どもたちはみらいを生き抜くための底力を蓄えている。
団体プロフィール

ハートフルウェーブ( Heartful WAVE)

「子どものための「あったらいいな」を形にする」をモットーに、目の前にいる子ども達に必要な教育を提供。各中学校で出席扱いの認可を取得しているほか、学童保育事業や通信制サポート校事業など多角的に展開している。

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