子どもの居場所づくりや心のケア
「ぼちぼちの会」は、結成14年目を迎える不登校生の保護者の会。毎月第1金曜日に福岡市南区の若久公民館で定例会を開くほか、高校訪問・学習会やレクリエーションなどを通し、子どもの進路や生き方を一緒に考える活動をされています。
当財団が助成している、能古島アイランドパークでの親子レクリエーションを訪ね、代表の志賀美代子さんにさんに「ぼちぼちの会」の活動や活動への思いを伺いました。
「ぼちぼちの会」の活動を始めたきっかけは何ですか?
不登校生徒の親として結成した情報交換の場
「ぼちぼちの会」を結成したのは、私の子どもが不登校になったことがきっかけです。子どもが不登校になった当初は、自分の育て方が悪かったのではと悩んだり、どうにかして学校に行かせたいとばかり考えていました。そんなときに、同じような子どもをもつお母さんたちと知り合い、情報交換をしたり、自分達の気持ちを分かち合う場として「ぼちぼちの会」を結成しました。
私の子どもが中学生の時、当時教頭先生として赴任してきた木村素也先生(現在「ぼちぼちの会」会長)が、学校の先生たちと私たち保護者との橋渡しをしてくださり、先生たちも一緒に、不登校についての意見交換や、学校の状況や受験などの情報交換をする場を持てるようになりました。
その後は、不登校の子どもたちやその保護者が学校の垣根を越えて参加しやすいようにと、活動場所を若久公民館に移動。木村先生は学校を転任しても「ぼちぼちの会」に参加してくださることになりました。今では参加者も徐々に増え、活動内容も広がってきています。
私の子どもが中学生の時、当時教頭先生として赴任してきた木村素也先生(現在「ぼちぼちの会」会長)が、学校の先生たちと私たち保護者との橋渡しをしてくださり、先生たちも一緒に、不登校についての意見交換や、学校の状況や受験などの情報交換をする場を持てるようになりました。
その後は、不登校の子どもたちやその保護者が学校の垣根を越えて参加しやすいようにと、活動場所を若久公民館に移動。木村先生は学校を転任しても「ぼちぼちの会」に参加してくださることになりました。今では参加者も徐々に増え、活動内容も広がってきています。
「ぼちぼちの会」はどのような活動をされていますか?
分かち合える居場所と専門的なアドバイスを得られる場
「ぼちぼちの会」は、不登校の子どもを持つ親が一人で悩まずに楽になれることを目的とし、情報交換や高校訪問・レクリエーションなどを通して子どもの進路や生き方を一緒に考えています。2004年に活動を始め、今年で14年目。毎月第1金曜日の定例会は、不登校の子どもを持つ親たちがお互いの悩みや不安を語り合い、分かち合う場です。同時に、この場では、長い間子どもの不登校問題に取り組んでいる木村先生が保護者からの相談も受けています。
定例会では、近年、親だけでなく不登校の子ども本人が参加することも増えてきました。ある高校生の女の子は、不登校になって「ぼちぼちの会」に参加し始めた当初、とても暗い表情でした。しかし、悩みや進路の話をしていくうちに、少しずつ表情が明るくなっていき、遂には大学に進学することができました。自分の気持ちをわかってもらえたり、進む道が見えてくることをきっかけに、子どもは変わることができるんですよね。
定例会の他に、通信制・単位制・定時制の高等学校の合同説明会や学校訪問会を開催し、子どもの進路について具体的に考えたり、能古島の自然を親子で楽しめるレクリエーションなどの活動を行ったりしています。
どのような思いや視点で活動を続けていますか?
一人で悩まず楽になってもらうための2つの視点
不登校の子どもを持つ親の不安や悩みを軽くしたい、楽になってほしいという思いで続けています。そのために、「ぼちぼちの会」では2つの視点を大切にしています。
1つ目は、不登校の子どもを持つ親としての視点。同じ悩みや不安を持つ者同士だからこそできる、分かち合いや共感があります。その分かち合いによって、一人じゃないと思えるような地域の居場所でありたいと考えています。
2つ目は、木村先生がもつ専門的なアドバイザーとしての視点。木村先生は、元校長先生であり、教師としての経験や、長い間不登校問題と向き合ってきた経験をもとに、専門的なアドバイスを行っています。
このように、「ぼちぼちの会」は、私と木村先生が2人で、それぞれの視点を大切にしながら活動をしています。
2つ目は、木村先生がもつ専門的なアドバイザーとしての視点。木村先生は、元校長先生であり、教師としての経験や、長い間不登校問題と向き合ってきた経験をもとに、専門的なアドバイスを行っています。
このように、「ぼちぼちの会」は、私と木村先生が2人で、それぞれの視点を大切にしながら活動をしています。
親子レクレーションには、どのような効果がありましたか?
開放的な空間で、親も子どももリフレッシュ
「ぼちぼちの会」では、年に1度、能古島という離島で、他の地域の保護者の会と合同で親子レクリエーションを行っています。今年は、小学生9名、中高生15名、保護者やスタッフ36名の合計60名が参加し、バーベキューをしたり、遊んだりくつろいだりして、自由に過ごしました。非日常的で開放的な雰囲気に刺激を受け、いつもと違った表情や行動を見せる子も多くいます。
親子レクリエーションをこれまで10年近く実施してきましたが、普段は外に出る機会が少ない不登校の子どもが、屋外で料理や集団活動をすることは、食育や他者とのコミュニケーションの観点から、大変有意義な活動です。今後も、レクリエーションの場でやりたいことを聞くなど、子どもたちに働きかけをしつつ、工夫しながら続けていきたいと考えています。
「ぼちぼちの会」は、どのような存在でありたいですか?
誰でもいつでも参加できる居場所であり続けること
「ぼちぼちの会」は、孤独になってしまいがちな不登校の子を持つ親にとって、自分の話を聞いてもらえて、不安な気持ちを分かち合えるような居場所であり続けたいと思っています。
子育てに失敗はなく、全てが成功です。大事なのは、子どもたち一人一人が自分らしく生きていくこと。「学校に行かない」という道を選ばざるを得なかった子どもにも、進路の選択肢は沢山あります。だから、親が「不登校でもいい」と受け入れ、子どもを認めてあげることが大切です。これからも、不登校の子どもを持つ親たちが、少しでも前向きに人生を考えていけるよう、みんなで話し合い、分かち合えるような居場所を保っていきたいですね。
子どもを信じて“ぼちぼち”みらいへ歩んでいく
「ぼちぼちの会」という名称には、不登校の子を持つ親に向けた「焦らないでいいよ」というメッセージが込められている。
「孤独と不安のなかにいる親たちに、少しでも楽になってもらいたい」と語る志賀さんの優しい微笑みは、今までも、そしてこれからも、沢山の人達の心を温め、“ぼちぼち”みらいへ歩んでいくための支えになるに違いない。
団体プロフィール
ぼちぼちの会
2004年に結成し、今年14年目を迎える不登校の子どもを持つ親の会。「一人で悩まず楽になること」「学校間を越えて、高校訪問やレクリエレーションなどを通じ、子どもの進路や生き方を考えること」を目的とした活動を行っている。
毎月第1金曜日に福岡市南区の若久公民館で行われる定例会には、周辺地域だけでなく、市外からの参加者も集まって、親たちが語り合い、悩みや不安を分かち合う場となっている。
毎月第1金曜日に福岡市南区の若久公民館で行われる定例会には、周辺地域だけでなく、市外からの参加者も集まって、親たちが語り合い、悩みや不安を分かち合う場となっている。
子供は皆、それぞれの成長テンポをもっています。
親の期待値のテンポに合わせるのではなく、時期が来ると芽を出したり花が咲いたり。
「ぼちぼち」という言葉のなかに、そんな優しさがにじみでていますね。
不登校の子どもたちやその親たちは、周りの人たちの理解を得ることが難しく、孤立しがちです。
このような活動がもっと広がり、悩みを相談できるようになることを願います。
我が子が不登校になってしまった時の絶望感は、経験した人でなければ分かりません。
同じ気持ちを共有できる場があるのは、大いなる救いです。
この場所に感謝すると共に、継続されることを希望します。
私も不登校を経験しました。このような場があると、心の支えになると思います。