くじゅう坊ガツル湿原一帯の豊かな自然を守るために

2020年11月20日

希少植物「ミヤマキリシマ」を守ろう! ~平治岳で植生保護活動~

九州各地の高山に自生する「ミヤマキリシマ」。実は、世界でも九州にしか分布していない希少な植物なんです。
毎年、5月下旬~6月上旬に花期のピークを迎え、一斉に花を咲かせる様は、ピンク色の絨毯のようでとても美しく迫力があります。
しかし、近年、成長の早いノリウツギ等の樹木に被圧され、くじゅう地域でも少しずつ数が減ってきているようです。
この希少で美しい花を守るため、九電みらい財団では、地域の皆さまとともに生育の支障となる木を伐採する植生保護活動を行っています。
11月14日(土)、今回も関連企業や地域の団体等で構成する「平治岳の自然を考える会」メンバーや九電グループの社員とその家族など、約60名のボランティアの皆さまにご参加いただき、九州電力の社有地でもある平治岳において活動を行いました。

春には山肌一面に花を咲かせるミヤマキリシマ(2020年6月撮影)

春には山肌一面に花を咲かせるミヤマキリシマ(2020年6月撮影)

この日は、雲ひとつない晴天に恵まれ、とても心地よい秋晴れとなりました。
コロナ禍での開催ということで、マスクの着用、受付での検温、手指の消毒等できる限りの対策を講じるとともに、極力、密集を避けるため、集合後は、出発式も執り行わず事務連絡のみを実施して大船林道終点まで車で移動。
大船林道終点に到着した皆さまは、ヘルメットや太枝切バサミなど作業で使用する資機材を受け取り、登山準備が整ったら、さあ、出発です!
皆さん、ご安全に!

受付では手指の消毒に加え検温を実施

受付では手指の消毒に加え検温を実施

事務連絡も手短に!

事務連絡も手短に!

装備が整ったら出発です!ご安全に!

装備が整ったら出発です!ご安全に!

今回、目指すのは、標高約1,600mの平治岳南峰山頂!!
参加者は、ススキ原野が広がる坊ガツル湿原を通り、休憩をしながら登山を楽しみました。
約1時間半で中継地点の大戸越(うとんごし)までたどり着き、しばしの休憩~!

疲れた様子の方もいらっしゃいましたが、奇麗な青空と秋の山々に魅せられ写真を撮っている方も多かったです。

ススキの広がる坊ガツル湿原

ススキの広がる坊ガツル湿原

中継地点の大戸越に到着

中継地点の大戸越に到着

今から登る山頂を眺める皆さま

今から登る山頂を眺める皆さま

休憩後は、気合を入れて作業場所まで登山再開!
ここからは、ミヤマキリシマの植生保護班と登山道整備班に分かれて登ります。

約30分の登山を終え、各班、作業場所についたら、早速ボランティア活動を開始!
ミヤマキリシマの植生を脅かすノリウツギやアセビの伐採作業を実施しました。今回実施するのは、数年前に伐採したノリウツギ等の株から新たに生えてきた枝を伐採する「芽かき」という作業です。直径1~2㎝前後の枝を太枝切バサミで切ります。
ボランティアの皆さんは、各班の作業リーダーから実施内容の説明を受け、手作業で切り進んでいただきました。木々が密集したエリアは、なかなか身動きがとれず大変でした。

山頂を目指し登山再開!

山頂を目指し登山再開!

山頂までもうひと踏ん張り!

山頂までもうひと踏ん張り!

作業リーダーの説明を受けたら作業開始!

作業リーダーの説明を受けたら作業開始!

太枝切バサミの切れ味最高~♪

太枝切バサミの切れ味最高~♪

ミヤマキリシマを避けながら支障木を伐採

ミヤマキリシマを避けながら支障木を伐採

平治岳本峰から見た作業風景

平治岳本峰から見た作業風景

今回も植生保護活動にあわせて、登山道の整備を実施。
春から秋にかけて多くの登山客が訪れる平治岳。登山道脇の草花が踏み荒らされたり、雨で登山道が崩れたりしないように、木製の板(水切り板)を設置します。
今回は、過去に設置した水切り板の補修に加え、”タイバックアンカー工法”という新たな技術を導入。これまでの工法に比べ、崩れにくい特性を持つということで取り入れました。

登山道整備のため、板や杭に加え、ハンマーやシャベルなどの機材も担いで上がり、とてもハードな作業でしたが、若手精鋭部隊の皆さまを中心に作業していただき、無事に完了することができました。

水切り板の補修

水切り板の補修

タイバックアンカー工法による水切り板の設置

タイバックアンカー工法による水切り板の設置

タイバックアンカー工法での設置を担った皆さま!

タイバックアンカー工法での設置を担った皆さま!

すべての作業は1時間半で終了。
参加者は晴れ渡った青空のもと、持参したお弁当を食べ、全員で大船林道終点まで引き返して、活動を終えました。
来年の春、ピンク色のきれいな花が一面に咲いてくれると期待しています♪
皆さまもミヤマキリシマの開花シーズンには、ぜひ足をお運びください!

年内の坊ガツル湿原一帯の環境保全活動はこれで小休止。次回は来年の3月に坊ガツル湿原の「本焼き」を行います。こちらについても、またご報告いたしますので、お楽しみに~

平治岳から眺める坊ガツル湿原

平治岳から眺める坊ガツル湿原