くじゅう坊ガツル湿原一帯の豊かな自然を守るために

2024年3月18日

坊ガツルを守る この手で! ~ 坊ガツル湿原で2023年度の「本焼き」を実施しました ~

今年も坊ガツル湿原の「野焼き」のシーズンがやってきました!

今年も坊ガツル湿原の「野焼き」のシーズンがやってきました!

かつて、野焼きが途絶えて荒廃が進んでしまった坊ガツル湿原。
美しい風景を取り戻すべく、1999年に九州電力大分支店主導のもと地元の自治体や関係団体等と「坊ガツル野焼き実行委員会」を立ち上げ、2000年に本焼きを再開しました。

例年、天候不順による延期で悩まされる本焼きですが、再開から25回目を迎える今回も、天候が危ぶまれながらも3月9日(土)に、九電みらい財団と九州電力大分支店が実行員会として運営する中、環境省、竹田市および九重の自然を守る会などの地元の皆さまや九電グループの従業員・家族など150名にご参加いただき実施しました。
また、今回は立中山における坊ガツル湿原野焼き勉強会も行われました。坊ガツル湿原の歴史や野焼きの意義をより多くの方に知ってもらうために新設したものであり、湿原を一望できる立中山山頂にて勉強会と本焼き活動を見学し、湿原の環境を守る重要性を31名の方に学んでいただきました。

野焼きは、害虫を駆除し植物の芽吹きを促すことを目的に湿原を焼き払う作業です。
雨などで湿原が濡れていると実施できませんが、今回は、青空は見えたものの、冷たい風が吹き、凍てつくほどの寒さのなか、参加者の皆さまは震えながらも安全に十分配慮して作業を実施することができました。

出発式:九州電力㈱の中村大分支店長にご挨拶いただきました

出発式:九州電力㈱の中村大分支店長にご挨拶いただきました

リーダーとの安全ミーティング

リーダーとの安全ミーティング

立中山勉強会の参加者の皆さまは一足先に出発しました

立中山勉強会の参加者の皆さまは一足先に出発しました

生態系に被害を及ぼすおそれのある植物の種を持ち込まないよう、車のタイヤ洗浄も念入りに行います

生態系に被害を及ぼすおそれのある植物の種を持ち込まないよう、車のタイヤ洗浄も念入りに行います

参加者の皆さまは、靴の泥落としを念入りに行い、班毎に作業場所まで移動します

参加者の皆さまは、靴の泥落としを念入りに行い、班毎に作業場所まで移動します

今回も5班に分かれての作業となりました。
参加者は寒空の中、ススキやカヤにおおわれた茶色の湿原を歩いて作業場所に向かいます!

各班の体制が整ったことを確認したら、いよいよ作業開始です!!

 

各班リーダーおよびサブリーダーから作業手順や安全行動について説明

各班リーダーおよびサブリーダーから作業手順や安全行動について説明

火入れ前に、消防署へ湿原の風速報告や警報・注意報有無の確認

火入れ前に、消防署へ湿原の風速報告や警報・注意報有無の確認

各班のリーダーおよびサブリーダーが風の向きを読みながら、火入れ責任者の指示のもと、湿原に火を入れていきます。
また、風向きや火の強さの変化を確認しつつ、慎重に広げていきます。
ほかのメンバーは、火が防火帯から外に出ないよう、水の入ったリュック(ジェットシューター)を背負いホースで水をかけて消火したり、火消棒を使って火を消していきます。
 

ジェットシューターに水を補充します

ジェットシューターに水を補充します

火消棒を持って準備万端です

火消棒を持って準備万端です

リーダーが風向きを注意しながら火入れを行います

リーダーが風向きを注意しながら火入れを行います

湿原を滑るように広がる炎

湿原を滑るように広がる炎

時折ものすごい火柱も!

時折ものすごい火柱も!

くじゅうの山々をバックに燃え盛る炎

くじゅうの山々をバックに燃え盛る炎

風下側からスタートした火入れは、序盤はなかなか火が広がりませんでしたが、風上側からの火入れにより、徐々に勢いよく燃え広がり、広さ33haの湿原は2時間程かけて焼くことができ、坊ガツル湿原は漆黒の野原に姿を変えました。
 

ジェットシューターを使って消火作業していきます

ジェットシューターを使って消火作業していきます

早田副社長もジェットシューターを使って消火作業をしていただきました!

早田副社長もジェットシューターを使って消火作業をしていただきました!

2時間程で作業は終了し、湿原一帯は黒い絨毯となりました

2時間程で作業は終了し、湿原一帯は黒い絨毯となりました

一方、立中山における坊ガツル湿原野焼き勉強会の参加者の皆さまは、法華院温泉山荘および鉾立峠を経由して立中山山頂を目指しました。

法華院温泉山荘にて小休止し、登山リーダーから注意事項の周知を受けます

法華院温泉山荘にて小休止し、登山リーダーから注意事項の周知を受けます

鉾立峠で登山道整備の石を拾い、いざ立中山山頂を目指します

鉾立峠で登山道整備の石を拾い、いざ立中山山頂を目指します

山頂に上がったら湿原一帯が見渡せます

山頂に上がったら湿原一帯が見渡せます

湿原では火入れが始まりました

湿原では火入れが始まりました

部分的に黒い絨毯が見えてきました

部分的に黒い絨毯が見えてきました

本焼き作業終了後、立中山から下山した参加者の皆さまと湿原で合流し、一緒にお弁当を食べました。

 

参加者の皆さまは、寒さに震えながらでしたが、お弁当を楽しみました

参加者の皆さまは、寒さに震えながらでしたが、お弁当を楽しみました

今回のお弁当です♪

今回のお弁当です♪

解散式:坊ガツル野焼き実行委員会 弘藏会長からご挨拶

解散式:坊ガツル野焼き実行委員会 弘藏会長からご挨拶

当財団 矢野事務局長のお礼の挨拶

当財団 矢野事務局長のお礼の挨拶

参加者の皆さまの集合写真

参加者の皆さまの集合写真

坊ガツル湿原の全景(BEFORE)

坊ガツル湿原の全景(BEFORE)

坊ガツル湿原の全景(AFTER)

坊ガツル湿原の全景(AFTER)

昨年8月の輪地切り、9月の輪地焼き(防火帯作り)から続いてきた2023年度の野焼き活動は、今回の本焼きで完了です!
今回の本焼きは青空は見えたものの、終始冷たい風が吹き、凍てつくほどの寒さのなかでの作業となりましたが、事故も延焼もなく安全に配慮し実施できて、事務局もホッとしています。
また、立中山における坊ガツル湿原野焼き勉強会におきましては、坊ガツル湿原の歴史や野焼きの意義をより多くの方に知ってもらうために今回新設しましたが、湿原を一望できる山頂での勉強会、登山道整備活動および本焼き作業の見学を体感していただき、少しでも坊ガツル湿原での保全活動に関心を持っていただけたのではないでしょうか。

ご参加いただいたボランティアの皆さんに、心から御礼申し上げます。ありがとうございました!
 
あたり一面真っ黒な絨毯のようになっている坊ガツル湿原ですが、これからたくさんの植物が芽吹きます!皆さんもぜひ一度足をお運びください!
来月(4月)には平治岳でのミヤマキリシマ植生保護・登山道整備活動も予定しています!こちらもご報告いたしますので、お楽しみに!