くじゅう坊ガツル湿原一帯の豊かな自然を守るために

2022年11月14日

平治岳の『ミヤマキリシマ』植生保護&登山道整備活動を実施しました

九州各地の高山に自生する「ミヤマキリシマ」は、世界でも九州にしか分布していない希少な植物です。
毎年、5月下旬~6月上旬に花期のピークを迎え、一斉に花を咲かせる様は、ピンク色の絨毯のようでとても美しく迫力があります。
しかし、近年、成長の早いノリウツギ等の樹木に被圧され、くじゅう地域でも少しずつ数が減ってきているようです。
この希少で美しい花を守るため、九電みらい財団では、地域の皆さまとともに生育の支障となる木を伐採する植生保護活動を行っています。
11月5日(土)に実施した今回の活動では、ミヤマキリシマの生育の支障となっている樹木の伐採や、登山道の整備を行いました。今回も地域の団体等で構成する「平治岳の自然を考える会」メンバーや九電グループの社員とその家族など、約70名のボランティアの皆さまにご参加いただきました。

平治岳大戸越

平治岳大戸越

この日の朝は、最低気温4℃と霜が降りるほど冷え込み、作業に影響が出ないか心配しましたが、徐々に気温も上がり、とても心地よい秋晴れとなりました。
新型コロナウイルス感染防止のため、集合時や会話の際のマスク着用、検温の実施、手指消毒、ソーシャルディスタンスの確保など、できる限りの対策を講じました。

当財団の辻代表理事の挨拶

当財団の辻代表理事の挨拶

手指消毒もしっかり行います

手指消毒もしっかり行います

事務局から「通行許可書」を受取り、車で大船林道終点へ移動です

事務局から「通行許可書」を受取り、車で大船林道終点へ移動です

今回の活動場所は、平治岳南峰の1,500m~1,600m付近です。
参加者の皆さまは、ヘルメットや太枝切バサミ、ハンマー、シャベルなど作業で使用する資機材をリュックに入れて、いざ出発です。
ススキ原野の広がる坊ガツル湿原を通り、秋の紅葉を楽しみ休憩をしながら現地に向かいました。
 

靴の裏の泥(花の種等)を落とします

靴の裏の泥(花の種等)を落とします

ススキの広がる坊ガツル湿原

ススキの広がる坊ガツル湿原

大戸越(うとんごし)に到着!

大戸越(うとんごし)に到着!

休憩後、各班の作業リーダーにバトンタッチし、ミヤマキリシマ植生保護班と登山道整備班に分かれ、各班の作業場所に散らばり、早速作業を開始!
ミヤマキリシマの植生を脅かすノリウツギやアセビの伐採作業を実施しました。今回実施するのは、約4年前に伐採(芽かき)したノリウツギ等の株から新たに生えてきた枝を伐採する「芽かき」という作業です。直径1~2㎝前後の枝を太枝切バサミで切ります。
参加者の皆さまは、各班の作業リーダーから実施内容の説明を受け、30分毎に休憩を取りながら太枝切バサミを使って切り進んでいきました。木々が密集したエリアでは身動きがとれず、苦労しながらの作業です。

植生保護班は作業リーダーから説明を受け、作業開始!

植生保護班は作業リーダーから説明を受け、作業開始!

太枝切バサミはよく切れます♪

太枝切バサミはよく切れます♪

ミヤマキリシマをうまく避けながら支障木を伐採していきます

ミヤマキリシマをうまく避けながら支障木を伐採していきます

今回も登山道の整備を実施。
春から秋にかけて多くの登山客が訪れる平治岳。登山道脇に咲いた花が踏み荒らされたり、雨で登山道が崩れたりしないように、木製の板(水切り板)を設置していきます。
過去に設置した水切り板の補修作業に加え、”タイバックアンカー工法”という新たな技術も導入して作業を実施しました。

登山道整備のための資機材(板や杭、ハンマーやシャベルなど)を担いで上がるのはとてもハードな作業です。今回も、若手参加者の皆さまを中心にご協力いただき、作業も無事に完了(タイバックアンカー工法4箇所、従来工法12箇所)することができました。

登山道整備班は、整備用の機材を背負って移動します

登山道整備班は、整備用の機材を背負って移動します

古くなった水切り板を補修

古くなった水切り板を補修

整備した登山道(タイバックアンカー工法)

整備した登山道(タイバックアンカー工法)

すべての作業は約1時間半で終了。
参加者は、持参したお弁当を食べ休憩したあと、ゆっくり安全に大船林道終点まで引き返して、活動を終えました。

来年の春、ピンク色のきれいな花が一面に咲いてくれるのが、楽しみです!!
皆さまもミヤマキリシマの開花シーズンには、ぜひ足をお運びください。

年内の坊ガツル湿原一帯の環境保全活動はこれで小休止。次回は来年3月に坊ガツル湿原の「本焼き」を行います。
こちらについても、またご報告いたしますので、お楽しみに~

当財団の矢野統括マネージャーからお礼の挨拶

当財団の矢野統括マネージャーからお礼の挨拶

帰路の坊ガツルキャンプ場ではテントが迎えてくれました!

帰路の坊ガツルキャンプ場ではテントが迎えてくれました!

伐採作業で大活躍の太枝切バサミを丁寧に磨いて次回活動に備えました

伐採作業で大活躍の太枝切バサミを丁寧に磨いて次回活動に備えました

ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!  (撮影時のみマスクを外しました)

ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました! (撮影時のみマスクを外しました)